原油ニュースのタグを付けられた記事一覧

コーヒー市場で新興国の需要が注目される理由

 世界最大の生産国であるブラジルが減産期を迎えた2009~10年度のコーヒー市場では世界的なコーヒー生産量の減少に伴う需給のひっ迫に対する懸念が強まり、これを受けてNY市場のコーヒー価格は8月23日に186.75セントまで上昇しました。

 この時期における他の市場の価格動向を見ると、NY株式市場ではダウ平均が1万ドル割れに向けた下落途上となっているほか、NY原油市場も70ドルに向かっての軟調な足取りとなっています。そのため、この時のコーヒー価格の上昇は他市場の堅調な足取りに追随した動きではなく、独自のファンダメンタルズ、つまり需給ひっ迫懸念を背景にしたものである可能性が高いことが分かります。

 なお、この年度の世界のコーヒー需給に関して米国農務省は、調査対象国を追加した03~04年度以降において、07~08年度に次いで需給がひっ迫する年度、との見方を示しています。

 さて今回、コーヒー価格を押し上げる主因となったのは、前述のようにブラジルの減産にありますが、同時に注目されるのが拡大する新興国のコーヒー需要です。とは言っても、新興国の需要が注目されるのは、今期が初めてのことではありません。

 実際は、BRICs諸国の経済成長に対する注目が高まった頃から新興国の需要増加に関心が寄せられているため、今期になって新たに浮上した買い支援材料というわけではないのです。

 しかしながら、経済発展が注目される新興国のなかには世界最大のアラビカ種生産国であるブラジル、そしてロブスタ種の世界最大の生産国であるベトナム、更には世界第1位、第2位の人口を抱えながらもコーヒーを飲む習慣が普及しておらず、それが故に今後の伸びしろが大きいと期待される中国、インドが含まれているのです。

 それでは、新興国の経済成長に対する期待が浮上した03~04年度から今年10月1日から開始する10~11年度間におけるこれら4カ国の需要の推移を見てみましょう。米国農務省の発表によると、03~04年度におけるこれら4カ国のコーヒー需要は総計で1,614万袋となっていました。これに対し、コーヒー市場が成熟している先進国(EU-27、日本、米国)の需要は7,271万1,000袋に達しています。

 ただ、10~11年度を見ると、新興国4カ国の需要が2,294万5,000袋と、03~04年度に比べて実に42%もの成長が予測されているのに対し、先進国側の需要は7,663万5,000袋と僅か5%の成長にとどまると見られているに過ぎません。

 さらに国際連合発表の人口推計(2009年時点)と米国農務省による需給報告を元に計算した場合、10~11年度における一人当たりのコーヒー豆消費量は、欧州が約15g、米国が12g、日本が8.9gとなっています。レギュラーコーヒー一杯あたりのコーヒー豆消費量は標準で10gですので、欧州、米国、日本では1日に一杯弱~1.5杯程度のレギュラーコーヒーが飲まれていることになります。

 これに対し、ブラジル、インド、中国、ベトナムの場合はどうでしょうか。さすがに世界最大の生産国であるブラジルの1日あたりのコーヒー消費量は16gと欧州を上回る水準に達していますが、残り3カ国の場合、ベトナムが2.2g、インドが0.25g、中国が0.05gとなっています。つまり、これら3カ国のレギュラーコーヒーの飲料回数はベトナムが5日に一杯、インドが40日に一杯となるほか、中国の場合は約半年に一杯、と先進国を大幅に下回る状況にあるのです。

 実際には、インスタントコーヒーも消費されているため、これら新興国におけるコーヒー飲料回数は上記の数値を上回ることが推測されます。しかしながら、インスタントコーヒーよりも高級で経済が成長するに伴い需要が増加すると期待されるコーヒー豆に関しては、消費量が先進国に比べて極端に少なく、それだけに今後の成長の可能性を秘めているものと考えられるのです。

 一方の在庫に関しても顕著な変化が見られています。特に、世界最大の生産国であるブラジルの場合、09~10年度の国内消費量は03~04年度の1,440万袋から1,950万袋に増加しましたが、この需要増加の影響で期末在庫量は03~04年度の1,181万9,000袋から09~10年度には354万6,000袋へと大幅に縮小しています。

 なお、10~11年度には豊作期を迎えるため、期末在庫量は734万6,000袋へと回復することが見込まれています。しかしながら、コーヒーの木は減産期と豊作期を交互に迎えるため、11~12年度には再び減産期となり、これに伴い在庫量も再び減少することが予想されます。

 コーヒーの消費量は経済成長の影響を受けやすいと考えられています。そのため、世界経済減退に対する危機感が強い状況では大幅な需要の増加は見込み難いが実情です。それでも、需要増加の伸びしろや抱える人口規模という観点からコーヒー市場では新興国に対する視線が熱く、その関心は今後さらに強まることになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

暗雲立ち込める米国の石油業界

 8月上旬にかけて82ドル台まで値を伸ばしていたNY原油価格は、目先の高値となる82.97ドルを付けた8月4日を境にして下落に転じ、現在も頭重い動きが続いています。特にFOMC後となる8月11日以降は下方への圧力が強まり、現地19日の取引からNY原油の終値は75ドル以下の水準で推移し続けているほか、24日の取引では71.45ドルと7月7日以来の水準まで下落しています。

 今年に入ってからのNY原油の推移を振り返ると、5月には87ドル台に達し、その直後に64.24ドルと今年の最安値を付けています。しかしながら、年初から8月下旬までを通して見た場合の取引レンジは、概ね70~80ドルとなっています。つまり、今年に入ってからのNY原油の値動きの幅は、原油市場にしては狭い10ドルというレンジ内にほぼ留まっているのです。

 実は、このように中期に渡って狭いレンジ内での往来にとどまる、というNY原油の動きは近年にはあまり見られなかった現象です。というのも、石油製品の生産状況が影響することから、原油にも需要期、不需要期があり、そのシーズンに合わせて価格が高下する、と通常は考えられているからです。

 例えば、米国の石油需要量が最も増加するドライブシーズン(5月最終月曜日のメモリアルデーから9月第一月曜日のレイバーデーまでの期間)には、年間でガソリン消費が最も膨らむ時期と想定されています。

 実際、米国エネルギー省が発表している週間報告で過去10年間での推移を見てみると、米国のドライブシーズンに当たる6月~8月間にはガソリン消費量が、前四半期の3月~5月期に比べて2~4%前後の拡大が見られるなど、季節によって需要に増減があることがわかります。また、当然のことながらこの需要の増加は価格にも影響し、ドライブシーズン期間にはガソリン、原油の価格は上昇する傾向が強まる、というのが通例でした。

 しかしながら、今年はその需要期を迎えながらも価格が上昇する兆しが見えないばかりか、8月上旬には早々と高値を記録するという、原油価格の上昇期待が最も高まる時期でありながらも冴えない足取りとなっているのです。

 その原因は何よりもまず、米国の石油需要が盛り上がりに欠ける状況が続いていることが挙げられます。米国エネルギー省の報告によれば、8月13日時点の米国内の原油、ガソリン、中間留分の在庫はいずれも過去5年間において最大量の状態が続いています。
 なかでもガソリン在庫量は最需要期を迎えているにもかかわらず、週を追うごとに増加しています。ドライブシーズンを迎えてから、製油所の稼働率は90%前後に上昇しており、これも在庫拡大の一因と思われます。

 ただそれでも、需要が旺盛な時期には稼働能力不足が指摘されていた、という過去の動向を振り返って見ると、稼働率が上昇する余地を残しながらの在庫の拡大は、依然として弱い米国の需要状況を端的に示していると言えるでしょう。

 また、このような弱い需要状況はクラックスプレッドの縮小、という事態も引き起こしています。NY市場の先物価格を基にして割り出したクラックスプレッドは、8月24日時点で約21.75となっています。このクラックスプレッドはガソリンと灯油の価格から原油の価格を差し引くことで割り出すため、需要が膨らんで石油製品価格が上昇していれば数値が大きくなる、つまり石油製品を生産することによって得られる利益が拡大する、ことになります。

 通常、この時期のクラックスプレッドは30を越える水準で推移していることを考慮すると、現在の水準がいかに低いか、つまり、現在石油製品を生産して得られる利益がいかに小さいか、ということがわかります。

 一般的には、このようにスプレッドが縮小している場合、石油製品の生産を抑えて供給を引き締めることで石油製品の価格上昇を促し、その結果、スプレッドが拡大に向かう、という動きが見られます。しかしながら、現在の米国の石油需要の弱さを考慮すると、生産を引き締めたからといって、スプレッドがセオリー通りに拡大することは難しいでしょう。

 現在、米国の景気には減退感が強いため、原油を始めとするエネルギー需要の回復は期待しづらい状況にあります。ドライブシーズンが終了すれば、市場の関心は冬場の暖房油需要に向かいますが、高い在庫水準、見通しに不透明感の強い景気状況、クラックスプレッドの縮小、という弱気なファンダメンタル面を見ている限り、米国の石油業界に明るさが見られるのもまだ先のことになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

再び地合いを強めた金市場の行方

 NY市場では、7月下旬には1,160ドルを割り込む水準まで下落していた金価格は7月28日に1,160.40ドルの終値を付けた後は上値追いに転じ、現地8月17日の終値は1,228.30ドルに達しています。

 そもそも、NY市場の金価格は6月下旬には1,240ドル台で推移していましたが、7月に入ってすぐに下落に転じていました。この金市場の動きとは対照的に、NY株式市場は7月2日に9614.32ドルまで下落した後は上値追いに転じ、金価格が直近の最安値を付けた7月28日には1万497.88ドルまで回復していました。

 この金市場と株式市場の動きは、欧州経済に対する危機感から安全な投資先として金市場に資金が流入していたものの、欧州経済に対する弱材料の織り込み感が強まるに伴ってリスク回帰の動きが強まったため、金市場から資金が流出し、一方の株式市場に資金が流入するという流れが背景になっていると考えられます。

 ちなみに同じ期間のユーロ・ドル市場では、ユーロが1.2233ドルから1.2990ドルに上昇するなど、ギリシャ財政問題に対する懸念が深まっていた6月上旬の1.19ドル台に比べるとユーロが買い戻される動きを見せています。このことからも、欧州経済に対する警戒感の和らぎを示唆していると言えるでしょう。

 このように欧州経済に対する不安感の緩和を背景にして金価格が下落傾向を強めていたにもかかわらず、8月に入ってから金価格の上昇指向が再び高まっている理由として、まず、米国、そして欧州経済に対する不安感が強まっていることが挙げられます。

 特に、米国の雇用情勢が停滞していることが金市場の買い気を強める重要な要因となっています。というのも、経済回復のシナリオの一つとして考えられる内需の拡大は、雇用情勢の回復とこれを背景にした個人消費の増加、によってもたらされると考えられるからです。

 なお、米国の7月の非農業雇用数は2ヶ月連続の減少となっただけでなく、前月比13万1000人減と事前予想を大幅に上回りました。また、週間失業保険新規申請件数は予想外の増加、そして7月の失業率は2ヶ月連続で昨年7月以来の低水準となる9.51%と発表されるなど、米国の雇用情勢が停滞しています。

 このように、米国の経済見通しに不透明感が強まることによって、安全な資産としての金需要が強まることになり、金市場へと資金が流入する可能性が高まります。そして、この流れに拍車をかけているのが、米連邦準備理事会(以下、FRB)による量的緩和政策の継続です。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は、短期金利の指標となるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き続き年0-0.25%のレンジに据え置くと発表したことに加え、2年債と10年債を中心に国債再投資を実施することを明らかにしました。

 量的緩和は金利を低く抑えることで、市場に出回る資金額の拡大と景気の拡大を図る政策ですが、これは将来的なインフレの可能性が高まることを意味します。これまでに何度か触れているように、実物が存在する金はインフレになれば将来的に価格が上昇すると考えられています。そのため、従来からインフレヘッジの一手段と考えられており、インフレ発生の可能性が高まると金市場に資金が流入する傾向があります。
 
 さらに、このインフレ観測を強めているのが熱波による干ばつの影響でロシア、ウクライナが穀物輸出を一時的に中止したことによる穀物価格の上昇です。ロシアの干ばつが深刻化した7月下旬以降、シカゴ市場のコーン価格は7営業日で約13%の値上がりを記録し、その後も高値での推移が続いています。

 このような欧米経済に対する不安感の再燃、米国での量的緩和と穀物価格の上昇による将来的なインフレに対する警戒感が、現在の金市場の心理を強めていると考えられます。なお、8月1日には1281.83トンまで落ち込んでいたNY市場の金ETF(SPDR)残高が、17日には1294.60トンまで増加していますが、これが金市場への投資意欲の強まりを端的に示していると言えるでしょう。

 8月17日のNY金市場は、株式市場が堅調に推移したにもかかわらず小高い動きを見せています。また、この日の金ETF残高は前日より株式市場の強気な足取りにもかかわらず、金市場から資金が流出するどころか、7.90トンと今年6月8日以来の急増となっています。この動きは、金市場の投資需要の根強さを示唆する動きと見られます。このような根強い金への投資意欲もあって、金市場は上値を目指す足取りが続くことになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

原油市況:買い戻しが続き80ドル台

1.原油市況:買い戻しが続き80ドル台

原油相場(WTI、期近物)は、欧州危機による金融市場の動揺から5月20日に一時65ドル割れの安値をつけた後に、徐々に上値を切り上げ、8月に入ると80ドル台前半で推移している。

欧州の財政・金融危機に対する警戒感が一巡する流れが続いたことや、米国の追加金融緩和観測が出たことを背景に、ドル相場が対ユーロを中心に下落し、ドル建てで取引される原油の押し上げ材料とされた。また、金融市場全般にリスク回避傾向が一巡する中で、株式や金属などと同様に原油も、リスク資産の一角として買われた。

もっとも、石油製品の需要が伸び悩み、各地の石油製品在庫が増加する中で、主な石油製品は原油に対して弱含んでいる。また、OPECの減産遵守率が低下する中で、ロシアや米国など非OPECにおける原油生産も高水準であり、供給圧力から原油在庫も高止まりしている。原油需給に引き締まり感はなく、上値を抑える要因になっている。

WTI・ブレント・ドバイの油種間スプレッド(価格差)をみると、原油相場が持ち直す局面でWTIのドバイに対するプレミアムが拡大した。ブレントは、保守作業に伴う減産などによりWTIに対して割高化して推移する局面がみられた。また、原油価格の先物カーブをみると、引き続き先高観測が根強い。BPの原油流出事故は収束したが、将来の供給への懸念は残っていることや、原油在庫の増加に伴って相対的に期近物安の圧力が強まっていることなどが背景にもあると考えられる。なお、先物市場の投機筋ポジションは、6月以降、大きな変動はみられない。商業筋も含めた先物の全建玉残高は、5月半ば以降、縮小気味に推移している。

世界的に実体経済面での回復が続き、石油需要も緩やかな増加傾向が続くとみられる。もっとも、一時に比べ緩和したとはいえ、米国、欧州、中国とも、先行きの不透明要因は強い。そうした中で、原油相場は、ドル相場や株式相場の動きに連動しながら70~80ドル台を中心にボックス圏での推移が続く見通しである。


2.品目別需給動向

(1)米国原油需給;原油在庫が高止まり

米国の原油在庫は約3.8億バレル程度で高止まりしており、高水準にあった前年を上回って推移している。国内での原油生産が高水準を続け、原油の輸入も増加傾向で推移している。このため、製油所における原油処理量が緩やかに持ち直しているものの、原油在庫の減少につながっていない。

(2)米国石油製品;製品在庫が高水準

ガソリン小売価格(全米平均)は1ガロン=2.8ドル前後での推移が続いている。こうした中、ガソリン消費量の回復は緩やかにとどまっている。一方、このところ中間留分の需要の落ち込みが大きくなってきている。背景には、欧州の財政問題などをきっかけに景気の先行き不透明感が生じて、米国の製造業活動や輸送活動などにやや減速感が出ていることがあると思われる。米国の石油製品在庫は、昨年に匹敵する高水準になっており、今後、在庫調整の動きが出てくる可能性がある。一時的に、原油需要を抑制することにつながる可能性もある。

(3)ナフサ;ナフサは生産調整含み

日本の6月の輸入ナフサ価格(通関)は、1リットルあたり46.4円と前月に比べ2.7円下落した。一方、6月の輸入原油価格は45.7円と前月に比べ4円下落したため、ナフサと原油との価格差はプラスに戻った。原油や石油製品の市況が5月にかけて下落した影響が、6月の原油やナフサの輸入価格に現れている。

7月以降のナフサ市況をみると、原油相場が総じて一進一退で推移する中で、ナフサが原油に対して割安化する動きがみられた。供給制約が強まったブレント原油を中心に原油価格が押し上げられた面もあるが、ナフサの供給が過剰気味になる中で、市況安の見込みなどから中国からのナフサの引き合いが弱まっているとみられる。ナフサを含めた石油製品の在庫調整・生産調整が起こるとの観測も出ている。もっとも基調としては、アジアにおける石油化学工業製品への需要は堅調であり、生産調整が大幅化、長期化する可能性は小さいとみられる。


3.産油国の生産動向等

7月のOPEC12ヶ国の原油生産(日量)は、前月比8万バレル増加した(Bloombergによる推計値、以下同じ)。イラクが5万バレルの増産となった影響が大きい。ナイジェリア、サウジアラビア、クウェート、UAEも小幅増産となり、イラク以外の生産枠が適用される11カ国の生産量は3万バレル増加であった。2009年1月より実施された減産に対する遵守率は、5割台にとどまっている。

ロシアなど非OPECの産油量が高水準で推移していることもあって、国際的に原油需給は緩和した状態が続いている。10月14日に予定されている次回総会では、再度、減産が検討されるとの見方が出始めている。サウジアラビアは、9月のアジア向け原油輸出価格を、基準となるオマーン原油やドバイ原油に対して引き下げる方針であると報道された。アジアの製油所の精製マージンの悪化に対応したものとされる。

イランの核開発問題では、6月に国連安全保障理事会が追加制裁決議を採択した後、米欧が制裁強化の姿勢を続けている。7月26日に、EU(欧州連合)はイラン系金融機関に対して4万ユーロ以上の資金移動に制限を設けるなど独自制裁策を発表した。また、8月3日には米国がイラン政府の影響下にある企業として新たに21社のリストを公表した。一方で、ロシアはイランに対してガソリンの供給を続けているとみられ、中国は4日からイラン石油相の訪問を受け入れていると報道され、ともに制裁強化には消極的とみられている。イラン側からは、7月26日に、無条件でIAEA(国際原子力機関)における核燃料交渉に復帰する意思があると述べている。

パレスチナとイスラエルの和平交渉では、米国が求めてきた直接交渉について、29日にアラブ連盟が支持を表明し、パレスチナのアッバス議長に対する直接交渉受け入れ圧力が強まった。一方8月3日には、レバノン軍とイスラエル軍が衝突するなど、引き続き不安定な情勢である。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

ラ・ニーニャ現象がコモディティ市場に与える影響を考える

 8月10日に気象庁はラ・ニーニャ現象の発生を発表しました。ラ・二―ニャ現象が発生するのは、2008年春に終息して以来、約2年ぶりのことになります。一方、気象庁に先立ってラ・ニーニャ現象の発生について触れていた米国のNOAA(米国海洋大気庁)は、今回のラ・ニーニャ現象は7月に発生しているほか、ほぼ全ての予測モデルが来年初頭まで継続すると予測している、と発表しています。

 ラ・ニーニャ現象がもたらす影響は発生した時期によって異なりますが、今回の場合、8月~11月と成熟~収穫期を迎える世界最大のコーン及び大豆生産国である米国では、南部地域を中心に高温少雨になる可能性が高い、とされています。

 今のところ、米国のコーン及び大豆生産の中心地である中西部では順調に生育が進んでいますが、すでに受粉・結実期を終えて成熟期に向かいつつあるコーンと異なり、大豆はサヤが着き始めたばかりであり、今から大豆生産にとって最も天候不良に対する懸念が高まる結実期を迎えます。

 現地8月9日付の米国農務省発表(以下、USDA)によると、現在大豆の作柄は良~優の状態が66%を占める良好な状態となっています。また、米国内の大豆需給はというと、09~10年度には期末在庫率が5.2%と危機的水準まで低下しながらも、10~11年度には生産量が前年度の33億5,900万ブッシェルから33億4,500万ブッシェルへと僅かに減少する一方、圧砕量、輸出量が減少することで11.4%まで回復する、とUSDAは予測しています。

 しかしながら、仮に熱波が広がって大豆生産が現在予測されている以上の減産となった場合、米国内の大豆需給は2年連続してひっ迫する可能性が高まることになります。ちなみに、最新の需給報告をもとにして計算すると、生産量が4,300万ブッシェル以上の下方修正が行われれば期末在庫率は一桁台に低下することになります。

 現時点での米国の生産量予測は、過去最大の作付面積、そしてエーカーあたり42.9ブッシェルという過去第3位となる高水準のイールドを基にして算出されていますが、注意したいのは、作付面積が過去最大とされている点です。というのも、これはイールドが僅かに低下するだけで生産量が大きく減少する可能性が高いことを意味しているからです。

 実際、イールドが40.5ブッシェル以下に低下すれば、期末在庫率が一桁台に低下することになりますが、2008年度には39.7ブッシェルまでイールドが落ち込んでいるだけに、ラ・ニーニャ現象の影響で熱波と干ばつが8月から広がるようであれば、米国の大豆需給が2年連続してひっ迫する可能性は十分にあると考えられます。

 また、同じ農産物という点から見ると、10月~11月にかけて作付期を迎えるブラジル、アルゼンチンへの影響にも注意が必要でしょう。というのは、この時期のラ・ニーニャ現象は、この両国に熱波をもたらす可能性があるからです。

 特に、ブラジル、アルゼンチンは米国に並ぶ大豆大国で、2010~11年度の場合、この3カ国の大豆輸出量は世界輸出の約88.5%を占めることが予測されています。実際には10月~11月時点でこの両国にラ・ニーニャ現象の影響がどの程度見られるか、という点にかかってくるとはいえ、この3大産地で熱波が広がる可能性は市場心理に大きく影響することになりそうです。

 なお、ラ・ニーニャ現象で懸念されるのは穀倉地帯での熱波だけではありません。NOAAは、カリブ海では垂直に吹く風である鉛直風が弱まって大西洋からの横風が強まる結果、ハリケーンの発生率が高まる、との見方を示しています。また、8月5日に発表された最新のハリケーン予測では、今夏のハリケーン発生個数は例年の6個に対し、8~12個と予想されています。さらに、大型ハリケーンに発達する個数は例年の2個に対し4~6個が見込まれています。

 米国エネルギー省によれば、2009年7月現在の米国の製油所数は143ヶ所で、製油能力(日)は1,767万1,550バレルとなっています。しかしながら、そのうちの44%に当たる773万9,302バレルの製油能力はテキサス州、ルイジアナ州とメキシコ湾岸地域に集中しているほか、原油在庫の約50%はPADD3に集中するなど、依然として米国の石油産業はメキシコ湾岸地域に集中しています。

 NOAAはラ・ニーニャ現象は今後、冬にかけてさらに強まる、つまり天候不良が発生する可能性が高まるとの見方を示しています。天候不良になれば農産物やエネルギーの需給に与える影響が大きい時期を迎えるだけに、熱波やハリケーンに対する警戒感がよりいっそう強まることになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

ロシアの記録的猛暑がなぜ穀物市場に影響するのか

 現地8月2日のシカゴの小麦先物市場は、中心限月が22ヶ月ぶりの高値となる742セントまで価格が上昇した後、終値としては2008年9月25日以来の高水準である723.50セントで引ける大幅高場面を演じました。

 実は小麦市場が上昇トレンドを描いているのは、この数日間のことではありません。7月に入ってから緩やかな上昇傾向を見せていました。しかしながら、8月に入ってから一気に値位置を切り上げているのです。

 これはロシアが130年ぶりという猛暑に見舞われていることが背景となっています。というのもこの猛暑とこれに伴う干ばつが影響し、同国の小麦生産量が減少するだけでなく、減産による国内供給引き締まりを受けて禁輸措置が採られるのではないか、との思惑が広がったことが背景となっているからです。

 ロシアの禁輸措置が小麦価格の高騰を促すのは、ロシアが世界有数の小麦輸出国であることに理由があります。肥沃な黒土地帯を有するロシアは、従来から有数の穀物生産国と知られていましたが、ソヴィエト崩壊による混乱で1990年代は農産物の生産量が低迷していました。

 1990年代の多くの場合、年間生産量は3,000万トン台での推移に終始しました。また、輸出用のインフラが未整備だったことを受けて、生産量の増減にかかわらず輸出量は最大でも120万トンにとどまったほか、最も少ない1995年の場合は20万6,000トンにとどまっていたのです。

 しかしながら、経済の成長に伴って2000年以降は小麦生産量が増加傾向を強めたことに加え、輸出に向けたインフラが整備されたことで、2002~03年度を境に急激に穀物輸出が伸びているのです。(年間小麦輸出量は2001~02年度は437万2,000トンでしたが、2002~03年度には1,262万1,000トンを記録しています。)

 なお、米国農務省の発表によれば、過去最大となる6,370万トンの生産量を記録した08~09年度のロシアの小麦輸出量は1,839万トンで、米国、カナダ、に次ぐ世界第3位の輸出国となっていました。

 一方の09~10年度の場合、輸出量は前年度から僅かながら減少した1,750万トンとされていますが、それでも世界第3位の小麦輸出国という地位に変わりはありません。また、09~10年度の場合、世界の小麦輸出市場においてロシアが占める割合は約13.5%となっています。極端ではありますが、例えばロシアがまったく小麦を輸出しなかったと仮定した場合、09~10年度の世界の小麦需給は約3%引き締まることが推測されるほど、ロシアは世界の小麦供給国としての地位を占めているのです。

 今回の猛暑が特に懸念されるのは、ロシアのなかでも重要な小麦産地において広がっている点にあります。ロシア政府によると、現在、猛暑による干ばつや自然火災が広がっているのは、シベリア、ウラル、ボルガ川流域となっています。

 この3地域はいずれも主要穀倉地帯です。米国農務省は、全ロシアの小麦作付け面積のうちこの3地域が占める割合はシベリアが約50%、ボルガが30%、ウラルが15%と、総計でおよそ95%に達する、と伝えています。

 米国農務省は7月発表の需給報告において10~11年度のロシアの小麦生産量を前月発表の5,750万トンから450万トン減少した5,300万トンと予測しています。しかしながら、ロシアの猛暑は、この需給報告が発表された7月10日以降も継続しているため、日を追うに従って干ばつやイールドの低下に対する警戒感が強まっています。

 なお、ロシアのスクリンニク農相は、今年の小麦生産の予想を当初の9,500万トンから8,500万トン以下に引き下げるとの見方を示していますが、一部では7,000万トン台まで落ち込むとの悲観的な声も聞かれています。

 ロイター通信が伝えたところによると、ロシア農業省は8月3日時点では穀物の禁輸措置については否定的な考えを示しています、しかしながら、同様に主要小麦産地であるオーストラリアの2期連続の干ばつや原油価格の上昇、新興国の需要などにより小麦価格が高騰した2007年から2008年にかけて、ロシア政府はG8諸国のなかで唯一、輸出関税措置を採るなど穀物輸出を規制したという過去の経験が、同国の禁輸措置に対する警戒心を強めています。

 市場にはすでに8月半ばまでの猛暑見通しは織り込まれています。それだけに、今後、小麦価格がさらに大きく値を伸ばすには、供給の減少を示唆する新たな要因が必要と見られますが、穀物大国であるロシアでの大幅な減産分が補填されるには、最短でも南米の増産を待たねばなりません。それだけに、世界需給引き締まりが今後も強く警戒される状況が続くことになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

拡大するエタノール産業に支えられるか、米国のコーン市場

米国農務省(以下、USDA)は最新の需給報告において10~11年度の米国内エタノール需要は、年間で47億ブッシェルに達するとの見通しを示しました。原油価格が急伸したことで米国のエタノール需要増加に対する期待が高まったのが、2005年でした。

 この年には、35ドル~55ドルと次第に値位置を切り上げていた原油価格の上昇指向がより強まり、8月には年初の45ドルという水準に対して70ドルを超える動きが見られたうえ、この原油価格の上昇を受けてガソリン価格が当時としての過去最高水準に達していました。さらに、米国では環境問題に対する意識が高まり、ガソリンの添加物であるMTBEの廃止が決定されたことで、ガソリンの代替としてのエタノール需要に対する期待が高まったのです。

 さらに、その後も08年にかけて原油価格の上昇が続いたため、米国ではエタノール産業の成長が続き、全米のエタノール生産能力(年間)は2005年1月時点の36億4,370万ガロンに対し、2010年1月時点では130億2,840万ガロンへと約3.5倍に達しています(Renewable Fuel Associationの発表による)。

 また、これに伴って「エタノール生産用としてのコーン消費量も増加しています。USDAの発表から見ると、05~06年度が16億ブッシェルだったのに対し、10~11年度にはその約2.9倍に達する47億ブッシェルの見通しとなっています。

 注目されるのは、エタノール生産用として消費されるコーンの量だけではありません。エタノール生産用需要の大幅な成長を受け、米国内のコーン消費に占めるエタノール生産用需要は、05~06年度の14.25%から10~11年度には35%へと上昇しているのです。

 なお、従来のコーンの使用用途であった食用としての年間需要は13億~15億ブッシェルというレンジで定着しています。すでに成熟した状況にあるため、年度により多少の差異は生じるものの、エタノール需要が見せているような右肩上がりの成長は人口の増加などの要因がない限り、食用需要が大きく変化することはないと予想されます。

 このように2005年以降、急速にコーン市場においてその存在感を強めているエタノール産業だけに、エタノール産業の今後がコーン市場の行方に与える影響も日増しに高まっています。

 そのエタノール産業の現状ですが、現在、米国の主要エタノール産地である中西部におけるエタノールの工場卸価格はガロンあたり1.5ドル前後となっています。今年3月以降、エタノールの工場卸価格は1.4~1.5ドル前後で安定して推移しています。コーン価格も3.5ドル前後での推移が続いています。

 ここで米国農務省による、1ガロン当たりのエタノールを生産するためには平均して2.8ブッシェルのコーンが消費される、との見方を採用すれば、今年に入ってからのガロン当たりのエタノール生産マージンは40~50セントで安定して推移していることが推測されることになります。

 これは、過去には1ドルを超える生産マージンを記録することがたびたび見られたことからも窺われるように、生産マージンとしては高い水準というわけではありません。しかしながら、エタノール生産工場を兼業するコーン農家にとっては、加工することなくコーンを売却するよりも、エタノールを生産して売却した方が利潤が高まることを意味します。 

 特に、米国におけるエタノール消費がエタノール・ブームを経て次第に定着し、5年間で需要が3倍以上の成長を見せている状況が、一時期は疑問視されたエタノール産業の今後の安定成長を裏付ける一因になっていると思われます。

 なおエタノール産業には、生産地である米国中西部とその周辺地域での需要が旺盛ながらも、西海岸やメキシコ湾など、産地から離れるにつれて需要が停滞するという問題が残されています。米国エネルギー省の発表によるエタノール在庫状況においても、PADD1,PADD2の在庫量が全体の7割~8割を占めるといった偏りが見られています。

 これは、パイプラインでの輸送が困難なエタノール輸送のインフラ整備が生産量や需要の成長に比べると遅れた状況にあることが背景になっていると考えられます。ただ、逆に見れば今後、この偏向性が是正されるようであれば、米国のエタノール需要はさらに増加する可能性を十分に残している、と考えることもできるでしょう。

 米港農務省によるエタノール需要はその年度の景気やコーン価格の状況によって多少の修正が行われることがあります。そのため、実際に47億ブッシェルという需要が示現できるかどうか、という見通しには不透明な点が残りますが、成長ののりしろを残したエタノール産業が今後も米国のコーン市場を支えていくことになりそうです。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

頭重い原油価格の背景 ― カギを握る製油所の稼働能力

 7月4日の独立記念日を過ぎて、米国では本格的なドライブシーズンを迎えています。一般的に、米国のドライブシーズンはレイバーデイを迎える9月の第1月曜日に終了すると考えられていますが、それまでの間、つまり夏休みを迎えている7月~8月、は米国のガソリン需要が最も増加する傾向があります。

 米国エネルギー省によると今年度の米国の1日当たりの石油需要は約1,900万バレルとなっています。そのうちガソリンの需要は900万バレル前後と、米国の石油需要の半分を占めています。そのため市場では、ドライブシーズンにはガソリン需要拡大が強く意識される傾向が高まります。

 しかしながら、NY市場のガソリンは7月6日に1.9480ドルまで落ち込んだ後に若干の回復を見せて節目とされた2ドル台に達したとはいえ、2.10ドルを上値抵抗にした頭重い動きが続いています。また、一方の原油価格も75ドル台を回復したとはいえ、78ドルを突破できない状況が続いています。

 とはいえ、NY市場では夏場の需要増加に加えハリケーンシーズンを迎えていることを受けて投機資金が僅かながら増加しています。NYエネルギー市場にどの程度の投機筋が参入している指標として注目されるCFTC報告(先物のみ)によると、原油市場の場合、7月13日時点の大口投機家の買い越し数は3万4,645枚。前週より8,430枚の増加です。また、同日のガソリン市場の買い越し数は3万9,342枚で前週より3,265枚となりました。

 しかしながら、3ヶ月前の4月時点では大口投機家の買い越し数が、原油市場の場合は10万枚を超えていたほか、ガソリン市場では8万枚に達していた状況から見ると、現在の原油、ガソリン市場では次第に買い気が強まっているとはいえ、ドライブシーズンの中でも最も需要の増加が期待される時期にしては買い人気が低迷した状況にあると考えられます。

 このようにNYの原油、ガソリンといったエネルギー市場の人気に盛り上がりが欠けるなかで頭重い動きになっている一因としては、米国のエネルギー需要の低迷とこれを受けて米国の在庫が依然として高水準となっていることが挙げられるでしょう。

 前述のように今年の1日当たりの石油需要は1,900万バレル前後が見込まれています。1,850万バレル前後だった前年度からは若干の回復が見られていますが、リーマンショック以前には2,000万バレル以上の需要を記録していただけに、全体としての石油需要は完全に回復には至っていないことが分かります。

 なお、ガソリン需要が石油需要全体の半分を占めるなど、米国の石油需要はガソリンが主導になっているという側面から、ガソリン需要の状況を知ることが米国の石油需要の状況を把握するのに有効と考えられます。その肝心のガソリン需要は1月当初の874万1,000バレルに対し、7月に入ってからは900万バレルを越える状況が続くなど、夏場にかけて増加しているとはいえ、970万バレルを記録していた2007年度に比べると、需要に見劣りがする感は否めません。

 それでは、このような需要の停滞がガソリン在庫にどのような影響を与えているかというと、米国エネルギー省が発表するガソリン在庫報告によれば、7月8日現在の米国のガソリン在庫量は2億1,940万バレル。前週からは130万バレル、そして前年同時期に比べると630万バレルの増加となっています。在庫の高水準は、需要の減退や供給過多に対する警戒感を強めるため、この在庫状況が今後も市場の重石になってくる可能性があります。

 しかしながら、ここで注意しておきたいのは、米国エネルギー省が米国全体の製油所の稼動能力が2003年以来、初めて減少した、と報告している点です。同省によると、リーマンショックとその後の金融危機の影響で米国内の石油需要が長期にわたって低迷していることを受け、米国内の製油稼働能力が減少しています。

 なお、米国の製油所の能力については、設備の老朽化が進んでおり効率が悪い、という点がたびたび言及されています。そのため、好景気でエネルギー需要が旺盛だった2006年、2007年には90%を超える稼働率を記録しても膨らむ需要に対応出来ず供給が不足するのではないか、という点が常に懸念されていました。

 現在は、稼働率が90%を回復してきており、それにもかかわらず在庫が増加するほど需要の弱い状況が続いています。特に先ほどから繰り返し触れているようにドライブシーズンの中でも需要の増加が期待される時期に需要が停滞している状況に変化がない限り、エネルギー市場の上値は重い状態が続くと予想されます。

 特に、世界最大級の石油消費国である米国の需要回復は、景気回復がなければ期待するのは難しいように思われますが、稼働能力の減少という供給サイドの要因から需給が引き締まり、これが価格をサポートする可能性が高い点には注意が必要と思われます。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

大豆市場の強気はいつまで続くのか

 シカゴ市場(通常取引)では7月初旬には落ち込んでいた大豆価格が7月7日以降に急伸場面を演じています。7月7日の始値は940.50セントでしたが、12日にはこの価格から約7.2%上昇した1009セントまで値を伸ばしました。その後も大きく値を崩すことはなく990~1,000セントのレンジで高下しています。

 このように大豆価格が大幅に上昇した主な理由としてまず挙げられるのが、09~10年度における米国の大豆需給ひっ迫に対する警戒感です。

 米国の09~10年度の大豆需給は、生産量が前年度の29億6,700万ブッシェルから33億5,900万ブッシェルへの大幅な増加が見込まれています。しかしながら、輸出用を中心とした需要の拡大を受けて、期末在庫率は当初に発表された7.4%よりジリジリと引き下げられ、最新の発表では前月予測の5.9%に対し、5.2%とされました。

 米国内の大豆期末在庫率が10%を割り込むのは、これで3年連続となります。通常ならば、供給ひっ迫により価格が上昇すれば生産意欲が高まるため、翌年度には生産量が増加し、その結果、需給は緩和に向かう、とのサイクルを描きます。

実際、09~10年度の生産量は過去最大の水準まで膨らみました。それにもかかわらず、同様に需要の増加が予測されていることで、需給ひっ迫感が強く警戒される状況が続いているのです。

このように警戒感が強まるほど需給が引き締まる原因となっているのが、輸出用需要の拡大です。当初、09~10年度の米国の大豆輸出用需要は12億6,000万ブッシェルと予測されていました。しかしながら、最新の報告では14億6,000万ブッシェルと発表されています。

これは、通常ならば南米の大豆輸出が本格化するため、米国産への需要は減少する時期であるにもかかわらず中国向けの輸出が回復していること、などが背景となっています。 

中国が米国産大豆に強い買い意欲を見せている理由としては、国内産地において乾燥した天候が広がっていることで国内の供給がひっ迫していること、人民元の弾力化やドル安により大豆の輸入価格が下落していること、が考えられます。

さらに、このような需給ひっ迫懸念が強いなかで米国中西部では一部で土壌水分の乾燥が進んだ結果、作柄が悪化したことが、追い風になったと思われます。

つまり、もともと米国内の需給は大豊作にもかかわらず供給ひっ迫が見込まれる状態だったところに、予想外の中国の需要が見られた結果、当初予測よりも需給が引き締まる可能性が高まったうえ、新穀に関しても作柄の悪化が見られた結果、需給ひっ迫に対する警戒感がいっそう強まったこと、が価格上昇の背景となっているのです。

とはいえ、この10ドル台という価格水準を今後も維持できるかどうか、という点に関しては疑問が残る状況となっています。というのも、現時点では作柄の悪化が報告されているとはいえ、現在、生育中の新穀の生産量は、過去最大となった前年度とほぼ同量の33億4,500万ブッシェルが予想されていますが、2年連続して豊作となることで、米国内の需給は緩和に向かうことが予想されるからです。

実際、米国農務省は10~11年度の米国の大豆輸出用需要を前年度の14億6,000万ブッシェルをわずかに下回る13億7,000万ブッシェルと予測していますが、それにもかかわらず、期末在庫率は11.4%への上昇が見込まれています。

また、大豆価格の高騰は同様に大豆の生産大国であるブラジル、アルゼンチンの生産意欲を高める、という点から見ても、中期的には需給は緩和に向かう可能性が高いように思われます。さらに、遺伝子組み換え種の導入率が90%を超えているため、よほどの天候不良がない限り、生産量に大きな影響が出る可能性は低いと考えられます。

8月の熱波は、大豆生産にとってもっとも警戒すべき時期で、心理面から売りにくくなり価格が上昇しやすくなる傾向があります。これに足元の需給ひっ迫も後押しする要因となって、目先の大豆価格は高値を維持するものと思われます。

しかしながら、中国の需要がどこまで続くか、という側面があるにしても、中期的には需給の緩和が見込まれることから、大豆価格の高騰局面が長期にわたる可能性は低いと考えられます。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ

原油市況:買い戻し優勢、いったん下落も70ドル台を維持

1.原油市況:買い戻し優勢、いったん下落も70ドル台を維持

原油相場(WTI、期近物)は、欧州危機による金融市場の動揺から、5月20日に一時65ドル割れの安値をつけたものの、その後は買い戻しの動きが優勢となり6月25日には79ドル台の戻り高値をつけた。その後も米国や中国の景気減速懸念をきっかけに再び下落したものの、70ドル台を維持したまま推移し、足元にかけては70ドル台半ばに持ち直している。

 6月に入り欧州危機がいったん落ち着きをみせ始めユーロが対ドルで反発したため、ドル建てで取引される原油の割安感に着目した買いが広がった。また、リスク資産を回避する動きが強まり株安や金高が進んだ局面でも、原油は比較的底堅い動きが続いた。原油在庫の増加を嫌気する動きもみられたが、直近では在庫減少が相場の押し上げ要因となった。ハリケーン・アレックスの発生も買い材料となった。もっとも英BPの原油流出事故については、短期的な供給懸念要因とする見方はあまり広がっていない。また、中国が人民元相場の変動を柔軟化させる措置を実施したものの、年間の切り上げ率は3%程度にとどまるとの見方が支配的となったため、原油相場への影響も限定的にとどまった。

 WTI・ブレント・ドバイの油種間スプレッド(価格差)をみると、原油相場が持ち直す局面でWTIのプレミアムが拡大した。欧州や中国の景気減速の影響がとりわけ懸念されたことを反映しているとみられる。また、原油価格の先物カーブをみると、BPの原油流出事故の影響で先高度合いが強まった動きは足元でいくぶん緩和した。なお、先物市場の投機筋ポジションは4月末から縮小傾向が続いたが、足元では小幅拡大した。商業筋も含めた先物の全建玉残高は、5月半ば以降減少が続いている。

 欧州危機や米中の景気減速懸念をはじめ、金融規制や財政緊縮など不透明要因が広がっている。もっとも、実体経済では世界的な景気回復が続き、石油需要の回復傾向もはっきりしてきている。このため当面の原油相場は、ドル相場や株式相場の動きに連動しながら70ドル台を中心にボックス圏での推移が続く見通しである。


2.品目別需給動向

(1)米国原油需給;原油需要が伸び悩み

 米国の原油在庫は約3.8億バレル程度で高止まりが続き、高水準にあった前年をさらに上回って推移している。需要期の6~9月には、原油在庫が減少する季節パターンがみられるものの、足元では原油需要が伸び悩んでいる。製油所の稼働率は、4月後半には90%程度と平年並みの水準まで上昇したものの、その後はガソリンをはじめ製品在庫が増加したため、稼働率の改善も一服している。

(2)米国石油製品;中間留分消費量は再び減少、ガソリン消費の回復も緩やか

 ガソリン小売価格(全米平均)は1ガロン=2.78ドルと、5月初めに3ドル台近くまで上昇した後は落ち着いた動きが続いている。原材料である原油価格の下落に加え、精製マージンもやや悪化している。ガソリン消費量はドライブシーズンに入った後は増加しているものの緩やかな回復にとどまっており、例年と比べると低い水準にとどまっている。

 一方、工場の動力源向けや物流向けのなど中間留分の消費量は、一時は急速な回復がみられたものの、例年の水準まで戻りきらないまま6月以降は再び減少傾向が鮮明になってきた。ガソリン、中間留分いずれについても、石油需要の回復は遅れ気味といえる。

(3)ナフサ;原油につれて持ち直し後反落、アジア需要への懸念が下げを加速

 日本の5月の輸入ナフサ価格(通関)は、1リットルあたり49.3円と前月に比べ1.8円上昇した。一方、5月の輸入原油価格は49.7円と前月に比べ3.2円上昇したため、ナフサと原油との価格差は逆転した。

 6月以降のナフサ市況をみると、5月下旬に直近安値をつけた後持ち直しの動きが続いたが、6月下旬から再度下落した。基本的に原油と連動した動きであった。もっとも、アジアにおける石油化学工業製品への需要が堅調なことを背景に、アジアのナフサ需給は相対的に引き締まりやすい状況が続いてきたが、足元では中国の景気減速などを背景に、石油化学製品への需要がやや伸び悩んでいるとされる。ナフサが原油に対し下落しやすい状況が当面続く可能性がある。


3.産油国の生産動向等

 6月のOPEC12ヶ国の原油生産(日量)は、前月比15.7万バレル減少した(Bloombergによる推計値、以下同じ)。イラク以外の生産枠が適用される11カ国の生産量は12.2万バレル減少し、減産遵守率は48%と前月とほぼ同程度であった。もっとも、6月の減産幅は昨年1月以来およそ1年半ぶりの大きさとなっており、減産協定を逸脱する各国の増産の動きが、ここにきて一服し始めている可能性もある。

 OPECは6月月報で、世界の原油需要予測を小幅下方修正した。もっとも、6月下旬以降の要人発言では、10月に予定されている次回総会までは、現在の生産枠を維持するとの発言が続いている。

 イランの核開発問題では、6月9日、国連安全保障理事会が追加制裁決議を採択したのに続き、EU(欧州連合)が独自制裁で合意したほか、米国では7月1日、ガソリン禁輸や金融制裁強化を盛り込んだイラン包括制裁法が成立した。国連や欧米諸国による制裁措置は、イラン経済に打撃を与えているとの見方が強まっている。そうした中イラン政府は7月6日、EUに対し条件付きながらも核問題での交渉再開に応じる方針を表明した。

 中東和平交渉を巡っては、ネタニヤフ・イスラエル首相が訪米しオバマ大統領との首脳会談を行い、ガザ地区の封鎖解除やパレスチナ自治区への入植凍結の履行や、早期の中東和平交渉再開で合意した。強硬姿勢をとってきたイスラエルが譲歩したのは、ガザへの支援船襲撃事件をきっかけに国際的な非難が高まっていることへの対処とみられ、和平交渉の進展が期待されている。

 なお、イラン核問題、中東和平交渉いずれも注目される局面が続いているが、地政学リスクに関するこうした動向に対し、最近の原油市場ではあまり反応がみられなくなりつつある。

RSSリーダーで見るために変換していますo

タグ